04:■建築技術2005年5月号(37頁)に掲載

【記事全文】

変位増幅機構を利用した制震装置で一般評定を取得


kenchikugijuttsu_5_hyoshi.jpg川口テクノソリューションが、設計・販売する「アドバンス制震システム」は、建物の柱・梁の骨組内にオイルダンパーを用いたブレース形状の制震装置を設置することにより、地震などによる建物の揺れを低減し、建物の安全性・居住性を高めるシステムである。同社は、このアドバンス制震システムについて、財団法人ベターリビングより“既存建築物及び新築建築物に減衰性能を付与して耐震性能を向上させる能力を有する”ことを証明する一般評定(CBL ID001-04号)を2005年1月11日に取得した。
 同システムは、建物の層間変位を2~3倍に増幅して油圧ダンパーに伝えることによって、振動エネルギーを効率よく吸収できる工法であり、地震時の建物変形量が比較的小さい低層鉄筋コンクリート造の耐震補強から、新築高層建物の地震時・強風時の耐震安全性・居住性改善まで、さまざまな建物に適用できる。また、従来工法と比べ設置数の低減が可能なため、施工期間の短縮・コストの低減を実現できるという特徴をもつ。

事務所ビルの耐震改修工事に初適用


kenchikugijutu_5month.jpg 「アドバンス制震システム」は、東京都新宿区の東鉄工業(株)第一ビル(旧本社)の耐震補強に12枠が採用された。従来工法と比べ、補強箇所数が1/2に低減されると、開口部の自由度、装置のスリム化、斬新なデザインなどが評価された結果であり、特に非常用侵入口、排煙窓を塞がずに耐震性能を満たせることが受注の大きな要因となった。
 耐震補強設計は、従来工法の場合、動的な検討を行っておらず、Is値を満足した建物でも靭性の高い建物などは大地震時に過大な変形を生じる場合も想定されるが、同システムによる補強設計では、超高層建物などで行っている地震応答解析を実施して、建物の動的挙動を正確に把握し、耐震安全性を確認している。
 川口テクノソリューションは、2004年5月に川口金属工業が同システムの設計・販売を目的に設立した会社であり、今回が初の実施案件となる。本件を除き現在までに16物件で解析を実施しており、このうち公立小中学校3件と公共建物1件については、今夏に工事が予定されている。他の物件についても採用を検討中である。
 ここ数年の地震の多発によって、改めて耐震補強に注目が集まっており、今後さらに検討案件が増加することが予想される。このため同社では、設計部門の充実を図るとともに、親会社の川口金属工業と増産体制を整え、同システムの普及に努める計画である。