鑷号17:■建築技術 2010年8月号186-187頁に掲載

【記事全文】

■多様な分野で活躍する耐震補強技術

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 (株)川金テクノソリューション(旧・川口テクノソリューション(株)) は、耐震補強に対する多様なニーズに対応するための技術として、主力の制震工法「アドバンス制震システム」に加え、鋼管をブレース材に用いる「ADブレース」、そして鋳鋼製の鉄骨接合部品「ダブジョイント」を開発して展開している。以下に、その技術について説明する。

アドバンス制震システム

KK01.png アドバンス制震システムは、機械分野で広く利用されている変位・速度増幅機構を応用し、ダンパーを効率的に使うことによって、地震や強風による建物の揺れを軽減する制震装置で、建物の安全性と居住性を高めることが可能になる。性能面では、実大の動的加振実験などを行って(財)べターリビングより一般評定を取得している(2005年1月取得、2006年6月に摩擦ダンパーでも取得、2009年1月には接合方法追加)。

 新築建物も対象としているが、耐震補強用としても教育施設や庁舎などに多くの実績があり、防災拠点となる消防署や病院の補強にも採用されている。最近では、在来工法による補強が難しい中層集合住宅の外付け耐震補強にも採用され、建物を使用しながら補強工事を実施している。施工については、内付けの場合には現場で鉄骨枠とプレース、ダンパーを組み立てて設置することになる。建物の外側から取付ける場合で、鉄骨枠が車両にて運搬可能な場合には、工場で組み立てた状態で現場に運びそのまま取り付けることもできる。また、外側に鉄骨フレームを設けて補強する場合には、設計時の増幅倍率を確保するために、ピン間距離を測定しブレース長を調整してから取り付けることになる。装置の取り付いた鉄骨と既存躯体とは、スタッドボルトと樹脂アンカーまたは接着工法によって接合されるのが一般的であるが、鋼管コッターを用いた接合方法がメニューに追加されている(2009年)。

 このように、適用範囲が広がってきているが、さらに新製品のトラニオンダンパーの開発によって、ダンパーをさらに短くすることができるようになり、補強構面内に広い開口部が確保できるようにもなっている。

ADプレース

KK02.png ADブレースは、アドバンス制震システムの技術を応用して開発された、耐震補強用の鋼管ブレースである。両端をピン接合として鉄骨に取り付け、ターンバックル機構によって長さの調整ができるもので、(財)べターリビングより一般評定を取得している(2009年3月一般評定取得、2010年5月に太径のブレース材を追加)。プレース部に鋼管を使用するために、威圧感が少なく意匠性に優れ、鋭角部やボルトの露出が少ないために安全性が高いものとなっている。さらに,鉄骨枠を先行して躯体に取り付け,後からブレース材を設置することによって,工期の短縮も可能になる。学校建物の耐震補強への実績が増えてきているが、最近では庁舎建物の外付け補強にも採用されている。

ダブジョイント(Dove Joint)

 前述の耐震補強技術を基に開発された、耐震補強用の鉄骨枠接合用の部品である。凸型と凹型の鋳鋼製部品を嵌合して高力ボルトで締め付けて固定するもので、鉄骨枠のフランジ面にボルトが出てこない平坦な接合部となるために、意匠性、安全性に優れており、仕上げを行う場合にもすっきりとした形状にできる。また、施工を簡略化することも可能になる。性能については、接合部の引張、曲げ実験を行って確認しており、(財)べターリビングより一般評定を取得している(2007年4月)。学校はじめ事務所の耐震補強などでの採用が多くなっており、また一般的なH形鋼プレース補強の鉄骨枠以外にも、さまざまな工法と組み合わせて使用することが可能となっている。

(やまもと まさし)